子どもにはおすすめできないし、一部大人にも、陰惨な殺戮が多いので、おすすめではないかもしれない。
けれど、このSFチックで、ファンタジーっぽい映画が、あえて表現を探せば、ぶっ飛んでいる!、というのがぴったりだ。
その中身だが、見る側の展開の期待を裏切るシーンが、数回はある。ただし、その期待の裏切り方が、ほとんどの場面で殺戮によるのが残念だ(このコメントに対しては、だからいいのだ、という反論はもちろんある。殺戮こそがこの映画の持ち味だ、というのもある。ただし、道徳的な意味とはべつに、他の道もあると思う)。
作る側の悪ふざけも頻繁にあるが、度が過ぎていないのがいい。
映画を展開させていく強力なモーティベーションがいくつかあって、娘を人質にされて隊長を引き受けさせられた武器に詳しい男と、ネズミを操る少女との約束の取り交わしが印象的だ。
もちろん、どんな状況でも生き延びてしまうハーレイ・クインのお約束ごとは最強だ。
その他、アメリカが隠し続ける宇宙生物の培養施設を敵の手に渡さないミッションなどもある。
中身が充実している、という意味でも強みを持った映画だ。
これは本当に偶然だが、あの『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワティティがネズミつかいの少女の父親役で出演していたのも、うれしい驚きだった。
あとから思い返してみても、印象深いシーンを想い起こすことが出来るのは、ひとえに「裏切り」の度をこした強さと、過去のいろいろな映画に対するそれこそ正当な「オマージュ」によるものだろう。
これは蛇足だが、アメリカの現実が、茶化された殺戮の中に投影されているような気がする。
(h.s)