(C) 綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

映画『ひらいて』

観始めてすぐに、わぁ~ドラマが始まった!と感激した。
ドラマはあるがストーリーはない。
フラッシュバックもないし、謎解きもないし、展開を正当化する解説もない。
なぜなら、主人公の少女は気持ちのままに動いているから。
そのくせ、好きになった男子生徒からは、うそを言っているといわれてしまう。
ここにあるのは、こころが躍動するドラマだ。行き違いや挫折はある。うそもあればはかりごともある。苦悩もあれば、はい出せない穴におちこむ苦しみもある。救いがあるかどうかもわからない。
しかし、こころの動きだけは、しっかりと描いている。
主人公の活動もそれなりにあって、夜の学校に忍び込んで、意外な展開を見せるシーンや、好きになった男子生徒の彼女を篭絡するシーンなど、見どころもあって目が離せない。
監督の手腕が大きいし、主役の山田杏奈の演技もよかったと思う。
今後、高校を舞台にした青春映画を撮るなら、この映画も必ず観てからにしてほしいものだ。
構成上でうまく使われていたのは、男子生徒の彼女が書いたいくつもの手紙だ。この手紙の文言がバックにながれることで、気持ちが飛躍したり、時間が戻ったりする。多分、言葉が豊かな原作のおかげで、映画の輝きが深みのあるものになっている。
ただ、ひとこと言わせてもらえば、冒頭のカットと一番最後のカットが意味不明だった。それでも、この映画のよさは揺るがない。

(h.s)

©hiroshi sano

監督 首藤凜
公開 2021年10月

評価
4/5

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