カテゴリー: 日本映画

  • 映画『騙し絵の牙』

    映画『騙し絵の牙』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2021「騙し絵の牙」製作委員会

    映画『騙し絵の牙』

    最後まで飽きさせないで見せた。主要な登人物のそれぞれが、きっちりと役柄を演じていた。

    映画として違和感なく、展開もテンポよく心地よい。カメラもセットもすんなり納得できた。ドンデン返しもあり、面白かった、という印象でスクリーンを後に出来た。

    だが、残念ながら、感動がない。筋書きから、言えば、最後の最後に、「騙されつづけてきた」(と自分で思っている)松岡茉優が一矢報いるシーンがそれにあたるが、かなり弱い。

    この映画では、大泉洋が「みかけよりは、ビッグな人物」(と私は勝手に規定するが)を演じているが、本当はそこのところが、演じきれていなかったのかもしれない。と、いうか、大泉の持ち味は、そんなところにないし、なくてもよい、というのが、彼の作品を好む観客の心情ではないだろうか。

    というようなわけで、彼が、ビッグを演じ切れていなかったせいで、せっかくの感動シーンがまったく作用しなかった。

    原作もよかったのかもしれないが、監督の綿密な技がある作品だと感じられた。

    (h.s)

    監督 吉田大八
    公開 2021年3月

    評価
    4/5

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  • 映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』

    映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2020映画「奥様は、取り扱い注意」製作委員会

    映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』

    綾瀬はるかはそこそこ演じている。西島秀俊もそこそこ演じている。だったら、問題ないのでは?(注)

    綾瀬は国際的に活躍するアクション系スパイ(ボンドみたいな)らしい。西島もそこそこ強くて、綾瀬を管理する立場の公安の人間。
    綾瀬が頭部に銃弾を受けて、記憶を失ってから、二人は夫婦となって、ある地方都市を舞台にした、国際的マネーロンダリングの陰謀に巻き込まれていく、というお話。

    お話自体に無理がある、というか、練ったあとが見られない、というか、設定と配役が薄い。

    綾瀬はるかが記憶を失っているかぎり、西島との夫婦生活は、うつくしい海のある町で、穏やかに過ぎていく。綾瀬は年齢に応じたそれなりの光彩を放っている。そのシーンだけで、映画として成立している。二人が暮らす家も、センス良く作りこまれている。

    二人をとりまく陰謀を体現するはずの役者も、その演技もシチュエーションも、薄い。悪役たちも、手抜きで演じているように見える。

    薄い部分を省いたら、五分の一くらいの長さになってしまうのだろうが、その五分の一が、次の映画に、つながっていく、気がした。

    (h.s)

    (注)竹内まりや

    監督 佐藤東弥
    公開 2021年3月

     

    評価
    2.7/5

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  • 映画『まともじゃないのは君も一緒』

    映画『まともじゃないのは君も一緒』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

    映画『まともじゃないのは君も一緒』

    清原果耶と成田凌の出演なので、新しい世界でも広がるのかな、と観に行った。観終わってすぐに忘れかけた。ざんねんだが印象が薄い。

    テーマは、大人の恋愛観(小泉孝太郎)に対して、恋愛無垢な女子高生と恋愛失敗だらけの塾講師が立ち向かう、という筋書き。

    ところどころに決めセリフがあって、観客にはうけていた。清原果耶は、恋愛を理解できないという役柄を、青春のとげとげしさも身にまとって、それなりに演じていたが、成田凌は、すでに大人にかなりなっているので、ズルサをかもしていて、混乱させる。

    もしかしたら、面白い映画になったかもしれない筋立てだったが、コケてしまった(ように見える)のは、ひとえに、出だしの二つのシーン、清原果耶と成田凌のキャラクターの描き間違いからきているのではないか、と思った。

    本当は、はじめのあのふたつの時間は、はっきりしたキャラクターづくりに使うべきだった。

    (h.s)

    監督 前田弘二
    公開 2021年3月

    評価
    3/5

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  • 映画『ライアーXライアー』

    映画『ライアーXライアー』

    佐野 ヒロシ

    (C) 2021『ライアー×ライアー』製作委員会 (C) 金田一蓮十郎/講談社

    映画『ライアーXライアー』

    親同士が再婚したので、姉弟になってしまった、男女の青春恋愛ドラマ。

    渋谷の雑踏で、二人がぶつかるシーンからはじまるが、ある事情、という設定ではあるものの、つくりの悪さから、ヒロインとこれから観客として付き合うのか、とシラケル思いが湧く出だしの悪さ。

    次のシーンにすぐ登場する堀田真由は、個人的には、応援したいカワイさを期待したいのに、大学生の設定とは思えない濃すぎるメークで台無し。

    と、ここまでは観る側の勝手な思い込み。

    ところが、ギャル役になりきる、森七菜が徐々に本領発揮で、リアリティを一身に集めることに成功。物語は軌道にのって、切なさぎりぎりの展開が続いていく。

    カメラワークにもたすけられて、ラブコメディーとして、なめらかに進行。

    非モテのヒロインが、超モテに突如、飛躍したりもするが、要は、もともと好きだった同士が、いろいろな事情で、というオチ。

    見かけの姉弟は、思い返せばよくある設定だが、いくつかの仕掛けが効いて、ハッピーエンドにいたる明るい青春ものになった。

    (h.s)

    監督 耶雲哉治
    公開 2021年2月

     

     

    評価
    3/5

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  • 映画『殺さない彼と死なない彼女』

    映画『殺さない彼と死なない彼女』

    佐野 ヒロシ

    映画『殺さない彼と死なない彼女』

    監督のセンスの良さが、最後まで力強い。ツーショットで会話がつづくシーンの繰り返しも面白い。たぶん原作の力か、高校生という人種の生態がこまかくリアルに拾われていて、いやみがない。
    なぜか、ぼやけさせた画像が長いのが、不必要で疲れる。
    しかし、総てをひっくるめて、かなり質の高い青春映画だ。
    『カメ止め』は、センスが悪い、そして、プロットの意外性一本槍なのに比べると、まったく正反対だが、面白く興奮する映画だ。
    (撮影に詳しそうな監督、ということで、なるほどと思わせるところが多々ある。ただし、新人がおもちゃをいじくっているようなところがあって、味付けにはなっているが、粗すぎ。音声の処理もイマイチ。ただし、その総てをひっくるめて、才能の噴出に出会ったような快感があった)
    とここまで書いて、静かに振り返ると、「八千代君」、「キャピ子」、「死なない彼女」の3つの物語の合成だと分かる。「死なない彼女」がメインのストーリーとなっているが、他のふたつがあるおかげで、全体に深みがでている。原作はSNS漫画家(?)の『世紀末』氏。きつい会話がほのぼのとした線の漫画で展開する。この映画は、その「きつい会話」と「ほのぼのとした漫画」の間の実写として奇跡的に成立している。
    セリフはどうも、原作からそっくりとっているようだ。ただし、原作はショートストリーリの集合なので、映画として長尺な作品に完成させた手腕は監督のものだ。
    登場人物がそれぞれ生きている。それに原作者の世紀末氏、それに監督の小林氏、のごちゃまぜ感がこの映画の魅力を高めている。いまから考えると「細部が生きている」、とでも表現したい映画だ。
    (hs)

    監督 小林啓一
    公開 2019年11月

    評価
    4.5/5

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  • 映画『スペシャルアクターズ』

    映画『スペシャルアクターズ』

    佐野 ヒロシ

    映画『スペシャルアクターズ』

    『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の第2作(正確には、この前にオムニバス作品がひとつあるので2.5作目)。言い方に迷うが、作品の質感が低くて難アリだが、観る価値的に言えば『ジョーカー』よりも価値のある映画。
    合計で4回くらいダマスことになるが、プロットの展開は上田監督ならではの才気十分。
    ただし、はじめから学芸会芝居で、最後のオチでその学芸会芝居を納得させるかというと、残念ながら、ひとつミスをしている(と思う)ので、ストンと納得にはいたらないので、残念な印象になっている(実質2作目のオムニバスでは、学芸会芝居をなっとくさせるオチがあった)。
    しかし、上田監督が成し遂げた快挙にはいまだに祝祭的な高揚がただよっているので、そんな雰囲気の中で観れば、カナリおもしろいのではないだろうか。
    すくなくとも『ジョーカー』よりは価値のある映画だ。
    (h.s)

    監督 上田慎一郎
    公開 2019年10月

    評価
    3.6/5

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  • 映画『記憶にございません!』

    映画『記憶にございません!』

    佐野 ヒロシ

    映画『記憶にございません!』

    バランス抜群の小気味よい喜劇!
    多くの人がすでに観たと思うので、いまさら批評めいたことを書く必要もないが、それでも一言いいたいのは、ヤフーの評価点数が、やや低いと感じたからだ。
    そして、そこにこそ、この映画の屈折した面白みがある。
    脇道にそれるが、俳優は、木村佳乃のアメリカ大統領と通訳(宮崎エマ)が出色。このあり得ない超リアリティーに、ハラハラして笑う初めての体験をした!(最新ゴジラで、石原さとみの同じ役柄は酷かった!)
    本題にもどると、控えめなカメラワークと、使いまわしのようなセット、そのすべてが語るのが、(たぶん)三谷幸喜のアンチ映画手法だ。かいつまんで言えば、映画であって映画でない、この面白さ。たぶん、「映画」を観に行った人たちは、違和感を感じて、低めに点をつけたように思える。 (hs)

    監督 三谷幸喜
    公開 2019年8月

    評価
    4.4/5

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  • 映画『柴公園』

    映画『柴公園』

    佐野 ヒロシ

    映画『柴公園』

    柴犬を連れた男三人がつどうので、彼らが勝手に「柴公園」と名付けた。
    ま、それはいいとして、ひょっとしたら、この映画は傑作なのではないか、と今思っている。
    女性の描き方にこだわりを感じたので、ひょっとして、女性監督かな、と思ったが、男のようだ。
    話の展開は、前半、コントのようで、テンポがよく、観ながら「これは買いだ」と思わせる展開だった。
    後半、まったく違う展開で、引きこもり気味の女性との恋愛物語になる。
    監督は、これを謎解き方式で展開しようとして、フラッシュバックを多用したが、後半一部失敗した。しかし、にも関わらず、意外と腰のつよいメッセージが伝わってきて、社会性も感じられる、好印象の映画になった。
    ただ、主役はやや、難アリで、魅力にかける。思い切って、福山雅治でもよかったのではないか。
    いまにも破たんしそうな映画展開を感じるかもしれないが、意外に尖った部分があちこちあって、映画は面白いと感じさせてくれた。

     

    (hs)

    監督 綾部真弥
    公開 2019年6月

    評価
    4/5

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  • 映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女のゆめを見ない』

    映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女のゆめを見ない』

    佐野 ヒロシ

    映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』

    周りがプラスの要素ばかりで囲まれている、少年の恋愛物語の顛末。
    登場人物は主人公と、主人公に好意をもつ女子ばかり。しかも、主人公の高校生は、なんと、先輩で、卒業後タレントになっている美女子に愛されている、ばかりか、一緒に暮らしている。
    食卓に、ショートケーキと、アイスクリームと、マシュマロと、プリンがのっているような感じ。
    時間が平行したり、交差しているらしくて、悲劇的な未来も、やり直しでなんとか妥当な結末にたどり着けるらしい。
    肉欲に直結するような匂いは皆無で、会話はプラトニックなものばかり。
    このラノベの原作シリーズが好評らしい。今時の少年たちの夢とあこがれであるようだ。
    と見下したような書き方だが、ここちのよい世界であるのは確かだ。
    映画館は、一人をのぞいて、少年や青年でいっぱいだった。(hs)

    監督 増井壮一
    公開 2019年6月
    原作 鴨志田一

    評価
    3.3/5

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  • 映画『潮騒』主演吉永小百合

    佐野 ヒロシ

    日本映画の「愛」はなんだ その1

    映画『潮騒』 主演吉永小百合

    日本映画の「愛」について、がぜん興味がわいてきた。愛と言えば、なんとなく吉永小百合が見たくなって、『潮騒』をDVDで観た。 『潮騒』は、若い男女が衣服を脱いで向き合う、というのがお決まりの映画で、ほかに山口百恵主演やいくつかバージョンがあるらしい。

    ちいさな島が舞台である。若い初江と新治の物語である。浜で働く初江を初めて見て、新治は好きになる。初江も好意をもつ。新治は少年の初々しい気持ちを残した漁師だ。ある日、島の廃屋で偶然二人は会って、再会を望むが、嵐の日に会おう、と約束する。嵐になれば、新治は漁に出なくていいからだ。とここまでが、前半だ。

    さて、その日から新治は天気が気になってしょうがない。漁師なら嵐はいやなはずだが、嵐が来そうにないとがっかりする新治、というコミカルなシーンがあって、いよいよ嵐の日がやってきた。

    ここから第一のクライマックスがやってくる。早めに着いた新治は待ち疲れて、たき火をしたままうとうとと寝てしまう。嵐の中を遅れてやってきた初江は全身雨にあたってぐっしょり濡れている。たき火を見つけると、さむさに震える初江は服を脱いで乾かそうとする。薪の陰で寝ている新治は、初江に気がつくが、その裸のすがた(たぶん美しい)にびっくりして立ち上がって近づこうとする。すると初江は、来てはだめだと言う。なぜか、と新治が問うと、恥ずかしい、と答えが返った。では、どうしたら恥ずかしくないか、と問うと、新治にも裸になれ、と言う。

    新治は上半身を裸になるが、初江は、それでは不十分だ、と言うのである。そこで、新治は下をとる。新治はもじもじする。すると、おどろくなかれ、初江は新治にむかって、足元の火を飛び越えて、来い!、というのである。新治は飛び越えた。(中略  愛について考察するには、このあとの驚くべき展開をあらすじごと書かなければならないのに気が付いた。)
    (中略 これほど手ごわい映画ははじめてだ。たぶん原作がしっかりしているからだろう。)
    この後二人は、愛をはぐくむのだが、世間(島の人々)の干渉(?)を乗り越えなければならない。
    二人が夜陰に山道から降りてくるのを目撃した、灯台守の娘が、初江の婚約者に、告げ口をする。島の子どもたちが、二人は出来ている、とはしゃいで島中を駆け巡る。初江は婚約者に、犯されそうになる。(つづく)

    (hs)

    監督 森永健次郎
    公開 1964年4月

    評価
    4/5

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