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  • 映画『町田くんの世界』

    映画『町田くんの世界』

    佐野 ヒロシ

    Ⓒ安藤ゆき/集英社 Ⓒ2019 映画「町田くんの世界」製作委員会

    映画『町田くんの世界』

    ほとんど印象に残らない映画だった。

    出演者は脇役に、高畑充希、前田敦子、池松壮亮、戸田恵梨香、松嶋菜々子、佐藤浩市、と考えられないくらい超豪華(というか、バラバラでもある)!

    そもそも主人公は、超善良の設定。だが、存在が薄い!

    たぶん、その薄さを描きたかったのでだろう。その証拠に、後半、主人公は風船とともに飛んでいく!

    で? ひっかかる人はひっかかるんだろうな?!

    (h.s)

    監督 石井裕也
    公開 2019年6月

    評価
    2.4/5

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    © 2019.Hiroshi Sano

    (著作権)オリジナル画像の著作権の侵害を意図するものではありません。

  • 映画『盲目のメロディー インド式殺人協奏曲』

    映画『盲目のメロディー インド式殺人協奏曲』

    佐野 ヒロシ

    映画『盲目のメロディー インド式殺人協奏曲』

    最後まで見ると、イントロの映像とうまくマッチしたエンディングで、しゃれたつくりになっている。だが、真ん中のあんこの部分が問題だ。
    盲目と偽ったピアニストが、殺人現場に居合わせてしまうシーンは何かが欠けてもったいない印象だ。
    ストーリーはどんでん返しの連続で、かつ、ほどよいインドの世相も分かって興味がもてる。
    しかし、せっかくの面白いプロットの展開が、だるい演出で精彩をそがれてしまった。
    詳しく書くと、長大になりそうな予感がするので、短く切り上げるが、同じような情景をいつか見たような気がした。日本の映画にもかつて、こんな不具合があった。インド映画にはインドの観客を喜ばせる定型があると思う。必ず歌と踊りが出てきて、主演俳優がしつこいほどアップになったりする。それはそれで、「インド流」として日本でも楽しめる。しかし、この映画は本格的な、どの国でもうけいれられる普遍的な体裁の「娯楽映画」になっている。なのに、インドの観客向けサービスの尻尾がついている。
    誤解してほしくないが、インドの世相が描かれているのとは別である。
    俳優は優秀だ。ストーリーやプロットも秀逸だ。だが、しつこいインド流が、まどろこしい演出となって、もしかしたら黒沢明になれたかもしれない映画を阻害してしまった。
    短く言えば、「土着映画」から「普遍的映画」への中間作品だ。
    これは忘れずに付け加えると、主人公の一人、タブーという名の女優の演技は素晴らしかった。
    (h.s)

    監督 シュリラーム・ラガバン
    公開 2019年11月

    評価
    3/5

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  • 映画『殺さない彼と死なない彼女』

    映画『殺さない彼と死なない彼女』

    佐野 ヒロシ

    映画『殺さない彼と死なない彼女』

    監督のセンスの良さが、最後まで力強い。ツーショットで会話がつづくシーンの繰り返しも面白い。たぶん原作の力か、高校生という人種の生態がこまかくリアルに拾われていて、いやみがない。
    なぜか、ぼやけさせた画像が長いのが、不必要で疲れる。
    しかし、総てをひっくるめて、かなり質の高い青春映画だ。
    『カメ止め』は、センスが悪い、そして、プロットの意外性一本槍なのに比べると、まったく正反対だが、面白く興奮する映画だ。
    (撮影に詳しそうな監督、ということで、なるほどと思わせるところが多々ある。ただし、新人がおもちゃをいじくっているようなところがあって、味付けにはなっているが、粗すぎ。音声の処理もイマイチ。ただし、その総てをひっくるめて、才能の噴出に出会ったような快感があった)
    とここまで書いて、静かに振り返ると、「八千代君」、「キャピ子」、「死なない彼女」の3つの物語の合成だと分かる。「死なない彼女」がメインのストーリーとなっているが、他のふたつがあるおかげで、全体に深みがでている。原作はSNS漫画家(?)の『世紀末』氏。きつい会話がほのぼのとした線の漫画で展開する。この映画は、その「きつい会話」と「ほのぼのとした漫画」の間の実写として奇跡的に成立している。
    セリフはどうも、原作からそっくりとっているようだ。ただし、原作はショートストリーリの集合なので、映画として長尺な作品に完成させた手腕は監督のものだ。
    登場人物がそれぞれ生きている。それに原作者の世紀末氏、それに監督の小林氏、のごちゃまぜ感がこの映画の魅力を高めている。いまから考えると「細部が生きている」、とでも表現したい映画だ。
    (hs)

    監督 小林啓一
    公開 2019年11月

    評価
    4.5/5

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  • 映画『スペシャルアクターズ』

    映画『スペシャルアクターズ』

    佐野 ヒロシ

    映画『スペシャルアクターズ』

    『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の第2作(正確には、この前にオムニバス作品がひとつあるので2.5作目)。言い方に迷うが、作品の質感が低くて難アリだが、観る価値的に言えば『ジョーカー』よりも価値のある映画。
    合計で4回くらいダマスことになるが、プロットの展開は上田監督ならではの才気十分。
    ただし、はじめから学芸会芝居で、最後のオチでその学芸会芝居を納得させるかというと、残念ながら、ひとつミスをしている(と思う)ので、ストンと納得にはいたらないので、残念な印象になっている(実質2作目のオムニバスでは、学芸会芝居をなっとくさせるオチがあった)。
    しかし、上田監督が成し遂げた快挙にはいまだに祝祭的な高揚がただよっているので、そんな雰囲気の中で観れば、カナリおもしろいのではないだろうか。
    すくなくとも『ジョーカー』よりは価値のある映画だ。
    (h.s)

    監督 上田慎一郎
    公開 2019年10月

    評価
    3.6/5

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  • 映画『ジョーカー』

    映画『ジョーカー』

    佐野 ヒロシ

    映画『ジョーカー』

    この映画を見て、何か不満を感じる人は、では映画にいったい何を求めるのだろう、という自問に陥ることになる。
    印象に残る秀逸な場面はジョーカーと、ロバート・デニーロが演じるショーの司会者とのテレビスタジオでのやり取りの場面だろう。蔑視なのか敬意なのか、緊張したテレビの時間のなかで、虚実の入り混じったデニーロの受けの偽善の演技が素晴らしい。
    しかし、偽善はあっけなく銃弾で倒れ、ゴッサムシティーの悪の象徴が誕生するのである。
    結局、悪にたおされる偽善、をこの映画ではこった映像と演技で見せらることになる。
    映画になにをもとめるかは、人それぞれだが、カタルシスがあるわけではないし、想像をかきたてるわけでもないので、『記憶にございません!』の反対の意味で映画であって映画でない、というのが私の印象である。(hs)

    監督 トッド・フィリップス
    公開 2019年10月

    評価
    3.2/5

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  • 映画『記憶にございません!』

    映画『記憶にございません!』

    佐野 ヒロシ

    映画『記憶にございません!』

    バランス抜群の小気味よい喜劇!
    多くの人がすでに観たと思うので、いまさら批評めいたことを書く必要もないが、それでも一言いいたいのは、ヤフーの評価点数が、やや低いと感じたからだ。
    そして、そこにこそ、この映画の屈折した面白みがある。
    脇道にそれるが、俳優は、木村佳乃のアメリカ大統領と通訳(宮崎エマ)が出色。このあり得ない超リアリティーに、ハラハラして笑う初めての体験をした!(最新ゴジラで、石原さとみの同じ役柄は酷かった!)
    本題にもどると、控えめなカメラワークと、使いまわしのようなセット、そのすべてが語るのが、(たぶん)三谷幸喜のアンチ映画手法だ。かいつまんで言えば、映画であって映画でない、この面白さ。たぶん、「映画」を観に行った人たちは、違和感を感じて、低めに点をつけたように思える。 (hs)

    監督 三谷幸喜
    公開 2019年8月

    評価
    4.4/5

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  • 映画『マーウェル』

    映画『マーウェル』

    佐野 ヒロシ

    映画『マーウェル』

    注目度、ベスト5にいれたい!
    が、ちょっとクセのあるテーマなので、一般向けではないかも。
    物語は、パンプス(ハイヒール)が好きな(あるいはこだわる)男が、そのおかげで(変態だということで)、記憶をなくすほどの暴行に会うが、町の人の温かさに支えられて、最後にはパンプスを履いて(偏見をもろともせずに)歩きまわれるほどに回復する、という展開である。
    だから、テーマは、一見、少数性癖者に対する偏見を正すことにあるように見えるが、この映画の存在価値はそこにはない。
    主人公はフィギャー(人形)をあつめて、写真を撮っている。そのフィギャーは、自分の分身や、自分が出会った女性たちに似ている。彼らは、チームとなって、ナチと戦っている。
    映画の内容は、それが、総てだ。
    で、なにがすごいのかというと、主人公はフィギャーをポーズさせて、スチル写真しか撮れない。
    ところが、ゼメキス監督は、主人公の写真の前後のシーケンスを、つまり、主人公の妄想の部分を素敵なモーションピクチャーにして、映画を仕上げたことだ。
    その妄想の映像化がじつに素敵。
    (私が感銘する)映画の本質を具現化しているので、とても気に入ってしまった。
    これ以上、言うと、フェリーニのアマルコルドとかを論じたくなるので、今のところはここでやめておく。(hs)

    監督 ゼメキス
    公開 2019年

    評価
    4/5

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  • 映画『RBG 最強の85才』

    映画『RBG 最強の85才』

    佐野 ヒロシ

    映画『RBG 最強の85才』

    現役のアメリカ最高裁判事、ルース・ベーダー・ギンズバーグの人生のドキュメンタリー。面白い!の一言。
    RBGは、名前の略。ロール・プレイング・ゲームが強い、85才のおばあさんの話ではない。・・念のため。
    一貫して女性の権利のために戦ってきたので、あるとき、RBGと呼ばれて、突然人気者になったらしい。
    その生きざまは、熱することなく、激することなく、ひすら一貫していて、おだやかな色でなめらかな完璧さを思わせる、象牙の表面を見ているような、見事さ。
    上院の公聴会で、中絶に賛成か、反対か、と聞かれたときの答えは、「女性が自分の道を自分で選べるようでなければならない」だった。
    中絶反対派の議員も説き伏せて、はれて、最高裁判事として承認される。
    ただ、気になったのは、目の前の人間を見るよりも、遠くを見るような眼だった。ものごとをなしとげるには必要な目だったのだろうが、公聴会で、目の前の上院議員たちを、幼稚園児にたとえた、過剰な抑制は、逆に、人間味の扁平さがあるような気がしてならなかった。(hs)

    監督 
    公開 2019年

    評価
    4/5

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  • 映画『柴公園』

    映画『柴公園』

    佐野 ヒロシ

    映画『柴公園』

    柴犬を連れた男三人がつどうので、彼らが勝手に「柴公園」と名付けた。
    ま、それはいいとして、ひょっとしたら、この映画は傑作なのではないか、と今思っている。
    女性の描き方にこだわりを感じたので、ひょっとして、女性監督かな、と思ったが、男のようだ。
    話の展開は、前半、コントのようで、テンポがよく、観ながら「これは買いだ」と思わせる展開だった。
    後半、まったく違う展開で、引きこもり気味の女性との恋愛物語になる。
    監督は、これを謎解き方式で展開しようとして、フラッシュバックを多用したが、後半一部失敗した。しかし、にも関わらず、意外と腰のつよいメッセージが伝わってきて、社会性も感じられる、好印象の映画になった。
    ただ、主役はやや、難アリで、魅力にかける。思い切って、福山雅治でもよかったのではないか。
    いまにも破たんしそうな映画展開を感じるかもしれないが、意外に尖った部分があちこちあって、映画は面白いと感じさせてくれた。

     

    (hs)

    監督 綾部真弥
    公開 2019年6月

    評価
    4/5

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  • 映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女のゆめを見ない』

    映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女のゆめを見ない』

    佐野 ヒロシ

    映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』

    周りがプラスの要素ばかりで囲まれている、少年の恋愛物語の顛末。
    登場人物は主人公と、主人公に好意をもつ女子ばかり。しかも、主人公の高校生は、なんと、先輩で、卒業後タレントになっている美女子に愛されている、ばかりか、一緒に暮らしている。
    食卓に、ショートケーキと、アイスクリームと、マシュマロと、プリンがのっているような感じ。
    時間が平行したり、交差しているらしくて、悲劇的な未来も、やり直しでなんとか妥当な結末にたどり着けるらしい。
    肉欲に直結するような匂いは皆無で、会話はプラトニックなものばかり。
    このラノベの原作シリーズが好評らしい。今時の少年たちの夢とあこがれであるようだ。
    と見下したような書き方だが、ここちのよい世界であるのは確かだ。
    映画館は、一人をのぞいて、少年や青年でいっぱいだった。(hs)

    監督 増井壮一
    公開 2019年6月
    原作 鴨志田一

    評価
    3.3/5

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