映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』

          (C)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

ある意味男にとってはつらいメッセージもこめられた戦争映画。とここまでが通り一遍の感想だが、映画を見たあとに実物のリー・ミラーを知るとこの感想が瓦解する。


まず、本人は超美人!映画の主役ケイト・ウィンスレットを凌駕する。
ただ、ケイトの名誉のために言えば、リー・ミラーの写真はどれもモデルっぽいし(戦場でのリーも含めて)、そして白黒なので、美的な様式の中におさめられていてある意味ブロマイド。
それに対して、ケイト・ウィンスレットはリアリティーを追求したであろうカラー映像のなかの戦場を駆け回る文字通りの汚れ役。

美しさだけではない。本人リー・ミラーを形容するのに「型破り」という言葉がなによりもふさわしい。元モデルでもある自由な発想の写真家、そして戦場リポーター。
映画がひたすらシリアスさを強調するのに対して、本人リー・ミラーの「型破り」にはそれを突破する力強さがある。

シリアスさを突破するとはどういう意味なのか。どんな悲惨な状況にも光をみていたのか。そんなことを反面教師的に感じさせる不思議な映画だった。