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映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

魅力的な映画になっている。
ちょっと特徴がある。このシリーズをミックスナッツに例えれば、ちょっと甘みのあるカシューナッツの配合を増やした、というおもむきだろうか。
ラブストーリーの部分を厚くしすぎれば、アクションの部分がオチャラケっぽくなる可能性もあったとおもうが、バランスよく組み立てられている。
そういう意味で、007というミックスナッツは、安泰だ。
しかし、といってこれまでのダブルオーではない。
イントロの重要なキーとなるシーンがおわり、本題にはいるとヒロイン役のレア・セドゥが車を運転するボンドを愛おし気にその髪を触る。そしてこの愛が破滅してしまうシーンの最後、二人が分かれるカットで、ヒロインはそっと自分のお腹に手をやる。この二つのカットが、この映画にまかれた種だ。
ありきたりに言えば、ボンドがついに愛されてケアされる存在になってしまった、ということだろう。

(h.s)

©hiroshi sano

監督 キャリー・フクナガ
公開 2021年9月

評価
4/5

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