(C) Marvel Studios 2021

映画『ブラック・ウィドウ』

いくつもの山があって、バランスよくつながって、最後の悪の巣窟の撲滅につながっていく。
まず、ブラック・ウィドウの幼少からの生い立ちと、数年ぶりに会った姉妹の闘いがあり、次に父親の脱獄を図るシーン、そして母親と再会するシーンが、ひとつひとつ趣のことなるアクションで連続していく。
一番最後の、悪の本拠地を破壊するシーンはしつこくなく、嫌味なく、淡々とアクションが積み重なっていくのが程よいスリルで、演出のうまいところなのだろう。
じつは、この映画は、スーパーヒーローもののアベンジャーズシリーズの間に挟まれる時期の話らしい。ので、アベンジャーズに描かれる突拍子もないアクションシーンと比べて、あえて張り合うこともない、といった認識でもあったのだろうか。
テーマは家族の絆。主人公が幼いころ、ロシア側のスパイとして偽の家族を営んでアメリカで生活していたところから始まる。偽りの家族ではあったが、いかにして、家族の絆を確かめ合っていくのか、という道筋にそって映画は進んでいく。
そして、物語を大きく動かしていくのが、悪の傭兵たちを、洗脳からの解放する薬品の争奪をめぐる戦いだ。まだ洗脳を解かれていない、傭兵たちと戦わなければならないシーンが初期から連綿と起きていく。悪の本拠地の破壊を、主人公たちの目的とするところから、ダイナミックさが増していく。後半、傭兵たちは薬品によって洗脳を解かれ、主人公は世界中に散らばる搾取され、傭兵とされた少女たちの居場所を突き止める。そして、本拠地の破壊につながっていく。
なぜ、ながながとあらすじめいたことを書いたかというと、この映画の原動力のありかを示すためだ。
もともと映画の力は流れの必然を設定するのとは別のところにもある。
しかし、この映画はこうした緻密な筋立てによって、厚みを感じさせるものになっていた。

(h.s)

©hiroshi sano

監督 ケイト・ショートランド
公開 2021年7月

 

評価
3.2/5

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